技術の承継について考えてみました

よく事業承継についての問題は相続等の対策も含め、書籍だったりセミナーだったりと目にすることが多々あります。

その事業承継の中には技術の承継も含まれると思いますが、やはり事業承継ということばからは「経営者のバトンタッチ」というイメージが強い気がします。

 

実際には技術承継がなければ、事業承継もないという業種もありますよね。

 

先日西陣織伝統工芸士さんのTwitterが炎上したという記事をFacebookで見ました。

 

職人募集をTwitterに投稿されたのですが、

給与が最初の半年ほどは出せないこと、その後の仕事の保証がないことなど正直に書いておられます。

 

単純に労働者を雇い入れるということだと、とてもブラックだということになるんですよね。

やりがい搾取的なことを発想される方も多いと思います。

 

でも、この方は西陣織という伝統工芸が消えゆくかも知れない事実の中、なんとか技術を承継してもらいたいとの思いで、

『この西陣織の職人が減りゆくなか、将来的に技術を覚えておきたい方に無料で教授いたします。』とも書いておられます。

 

何かを習うだけなら、授業料を支払うことはあっても給料を貰えることってないですよね。

一人前になって、自分で作ったものを売れるようにならなければ給料を貰えるようになったとしても立ち行かなくなるでしょう。

 

先日から書いている「フリーランス」として働く場合でも同じです。

ある程度のスキルを身につけて独立開業しても、すぐに事業が軌道に乗るかどうかはわかりません。

私も独立して4年目に入りましたが最初の2年ほどは大変でした💦

 

 

伝統工芸は技術承継自体が難しいんですよね。

標準化やマニュアル化しにくいから熟練者の経験に頼るところがとても多いと思います。

 

なので、お弟子さんになって師匠から教えていただくということになる。

 

仮に標準化・マニュアル化をできるとしても小規模な事業所さん単体ではコストもかかってしまって大変です。

ただ、今はスマホでも簡単に映像を撮れるので新しい取り組みもされているとは思いますが。

 

 

何かお手伝いできないかなぁ。

今はまだ何も思いつかないけれど、何かできることがあればと少し考えてみました。

とりとめもない感じになってしまいました<(_ _)>

 

税理士 松井千春

2017,3,20

 

京都での起業を考える

昨日、カフェを経営されてるお客様のお店でお抹茶茶碗を展示されてたので写真をパチリ。

 

 

この作家さんは出身は和歌山なんですが京都で古清水の伝統を守った器つくりをされています。

 

京都には京都以外の府県から伝統産業の担い手になったり、新しいお商売を始めたりといった方達がたくさんいらしてます。

 

そんな方の一人がこの器の作家さんです。

カフェを経営しているお客様は、縁があってこの作家さんを応援したいと、器を展示されてるんです。

 

お客様はこうも言っておられました。

 

京都には良いものが身近に沢山あるので、新しい作家さんが頑張ってもなかなか買ってはくれないと。

 

ほんとにそうですね。

手が出る金額かどうかもあるけれど、京都でのお商売は結構難しいです。特に伝統的なもの、着物や焼き物などは。。。

 

作家になりたい人を応援する土壌はあるけれど、作家になってからを応援する土壌がないのかな、と思いました。

京都での起業は難しいといってもいいかもしれません。

観光客向けや日々に必要な物やサービスはある程度の収益を見込めると思いますが。

 

ただ、そんな京都で目が出たらめちゃくちゃすごいことなんですよね!

 

作家を応援したい。

そんなお客様を応援したい、私なのでした。

 

私もご縁があってお客様との繋がりがあります。

独立開業されたお客様が長く仕事を続けていけるように、会計、税務面からだけではなくいろいろな角度からサポートできることは全力でやっています。

 

 

税理士  松井千春

2017,3,11

フリーになる!

しばらくブログをお休みしていました。申し訳ありません<(_ _)>

 

さて、ブログをお休みした理由に確定申告があります^^;

個人の所得税の申告で特に事業等をされている方の分は、2月16日から3月15日の期間内に行わないといけないので。

ブログ再開のきっかけは、お陰さまでご新規の方の分も含め、すべての申告の目途がたったのと、昨日の日経新聞に「ママ、フリーになる」という記事を見たからです。

 

実際私も一般の会社のOLから税理士事務所勤務を経て独立開業、いわゆるフリーになりました。

そこで、フリーになった先輩として、これからフリーになろうかという方々に知っておいていただきたいことがあります。

 

フリーになるとメリットもデメリットもあります。

その中でも以下のことは十分理解していただきたいところです。

 

1. 会計、税務の知識も必要

経理経験の有無や簿記を知っているかどうかもですが、特に税務についての知識はサラリーマン、OLの方達は『何も知らない』がとても多いです。

会社に勤めていると年末調整で完結する場合が多いです。源泉徴収票の見方も誰も教えてくれないですし、どういうように税金が計算されているのかも知らないことが殆どです。

実際私も一般の会社勤めをしているときは知りませんでした。その後税理士事務所に転職したのでいろいろと深く知ることができましたが。

フリーになるということは、自分の責任においてすべてをしなければなりません。

税についても無頓着のままではいられないです。

確定申告シーズンになると仕事そっちのけで申告書類を作成しているという話を聞きます。

つまり、その間は収入が得られないのですよね。

それってどうなんですかね?

それにまとめて処理をすると忘れていたり、大事な書類を失くしたり、どこにしまったかわからなくなったりします。

ご自身で申告することに異論はありませんが、経理処理は溜めずにこまめにすることをお勧めします!

どうしても無理なら早めに見切りをつけて専門家にお願いすべきです。

フリーとしてプロの仕事をご自身がしているのなら、任せた仕事がきちんと出来上がること、わかりますよね。

 

2. 自分の代わりは…

会社組織だと、誰かが病気や何かでその仕事に従事できないと代替してくれる仕組み作りがあると思います。

フリーになると、あなたの代わりはあるかもしれませんが、休んでいる間の収入はありません。

病気やケガをしても、それが仕事中であろうと保障はありません。

従業員の場合は労働基準法などにより雇用主にはいろいろな義務が課せられていますので、安心して働くことができました。

フリーになるとそうはいきません。自分で所得を保障してくれるような保険に入るなど準備と費用がかかります。

一度ふいにした仕事は二度と依頼が来ないかもしれませんしね。

仕事と家事、育児とのバランスなどよく考えないと疲弊してしまって仕事ができなくなることも考えられます。

健康には十分留意してくださいね。

 

ちょっと嫌な部分書きましたが、しっかり心にとめておいていただきたいです。

 

そんなデメリットともいえることがあっても、時間の自由や、やりがいなどメリットの方が上回るからフリーになるのだと思います。

私の仕事はそんな方々を応援することです。

 

税理士 松井千春

2017,3,9

 

帳簿等の保存

事業を始めると困るのが書類の整理です。

何が必要で何が不要なのか?

いつまで置いておかないといけないのか?

そもそも、どう分類したらいいのか?

 

お客様から相談を受けることがあります。

いわゆるファイリングというものですね。

私は事務職が長いので書類を分類して、その分類した書類をどう保存するかは慣れているつもりです。

それでも仕舞い方がわるいのか、「あれどこにやったかな?」っていうことはあります^^;

 

本業に打ち込むあまり書類の整理にまで手がまわらず、大事な書類が埋もれてしまったり、相手先からの書類に返信できていなかったりすることってあると思います。

でもそれで困ったことになる場合もありますよね。

 

サラリーマンからの起業でしたら、勤めていた会社やお店のやり方を真似てみるといいと思います。

仕事をやっていて、やりづらいことがあったのなら修正していけばいいですし。

勤めていても現場オンリーで事務的なことはわからない場合は、事務をしていた方に尋ねてみてはどうでしょう?

 

せっかく良い仕事をしても、きちんとできていないと相手に良い印象を与えません。

とくに税務に関わることと、お客さまや仕入先さまに関わる部分はきちんとしなければなりません。

 

税務に関係する現金出納帳や経費帳などの帳簿や決算関係の書類は7年保管しなければなりません。

結構な量の書類になりますので、7年も置いておくのって大変です。

税務調査などで必要になったときに失くしてしまったり、どこにしまったかわからないということになると、故意に隠したり捨てたりしたのではと勘繰られることにもなりかねません。

 

書類整理って面倒な部分が多いのですが、どこにしまうのかをルールづけて、すぐにそのルールに則って作業をすればそんなに大変ではないです。

やっぱり溜めこむのが一番ダメですね。

溜めるのはお金だけにしましょう(笑)

 

税理士 松井千春

2017,1,23

 

 

 

源泉徴収した税金はどうするの?

給与や賞与、報酬から源泉徴収した所得税は事業者が預かっている状態なので、一定期日までに納税しなければなりません。

 

給料・賞与、税理士等への報酬支払いは前回のブログに書きましたが、「源泉所得税の納期の特例に関する申請書」を提出された方は半年毎に納税します。

適用年度の中途でない限り、

1〜6月中に支払をした給料・賞与、報酬分は7月10日が納付期限です。

7〜12月中に支払をした給料・賞与、報酬分は翌年1月20日が納付期限です。

 

納期の特例の申請をしていない事業所や申請できない事業所(従業員を常時10人を超えて雇っている事業所)は、毎月の給料・賞与、報酬支払い日の翌月10日が納付期限です。

 

国税庁HP 納付書記載の仕方

 

 

原稿料、デザイン料の報酬などは、納期の特例の適用範囲外なので、やはり報酬支払い日の翌月10日が納付期限となります。

納付書の種類も違うので注意が必要です。

国税庁HP 報酬・料金等の所得税徴収高計算書の様式及び記載要領

 

 

 

これらの納付期限日が金融機関の休業日の場合は翌営業日が納付期限になります。

 

もし納税しなかったら、不納付加算税という罰則的な税金や延滞税という納付が遅れた期間に対する利息的な税金を払わないといけなくなる可能性がありますのでご注意ください。

 

 

納税の方法は、納付書に給与等の支払額や税額等を記載して金融機関の窓口で支払うのが一般的です。

ですが、e-Taxを利用して納税することも可能です。

ダイレクト納付の手続き(引き落とし口座の登録)をすれば、e-Taxを経由して登録した口座から引き落とすことができます。

 

このダイレクト納付は電子署名が要らないですし、カードリーダーも必要ないですし、銀行に行かなくてもいいので便利です。

 

今年の1月4日からクレジットカードの納付ができるようになった税目がありますが、源泉所得税は告知分のみとなっています。

告知分とは税務署のほうからこの金額を納めなさいと告知されたものとなります。

 

 

税理士 松井千春

2017,1,19

 

源泉徴収義務者(給与を支払者)になったらしなければならないこと

源泉徴収義務者になったら

・給与支払事務所等の開設届出書

個人の場合は、従業員を雇うようになったら提出しましょう。青色専従者給与の届出をされた場合は省略できます。

法人の場合は、必ず源泉徴収義務者になるのですが、源泉徴収の対象となる支払があるならこの届出は必要です。

この届出を受理した税務署は、届出をした事業所に、源泉徴収についてのあらましや源泉徴収の仕方、源泉徴収した税金を支払うための納付書等を送付してくれます。

≪記載見本はこちら

 

・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉徴収した所得税は、その源泉徴収の対象となった支払をした月の翌月10日までに納税しなければなりません。

例えば1月25日に支払した給料、1月31日に支払した税理士報酬がある場合、それぞれに対する源泉所得税の合計を2月10日までに納税することになります。つまり毎月納付書を作成し納税しなければならないのです。

ただし、常時雇用している従業員が10人以内の小規模な事業者の事務負担を軽減するために、この「源泉所得税の納期の特例」があります。

納期の特例の承認がされましたら、通常は年2回の納付ですみます。

この申請書を提出して税務署から「却下」の連絡がなければ「みなし承認」といって認められたことになります。

なので税務署から何も連絡がなくても心配しないでくださいね。

 

例)2月に申請書提出 → 3月に支払う分から納期特例適用

1月分 → 2月10日納期限

2月分 → 3月10日納期限

3~6月分 → 7月10日納期限

7~12月分 → 翌年1月20日納期限

次の年からは以下のようになります。

1~6月分 → 7月10日納期限

7~12月分 → 翌年1月20日納期限

 

源泉徴収の仕方

給与・賞与の場合「源泉徴収税額表」を利用します。

平成29年分はこちら

・給料の場合

一般的な月給だけを説明いたしますので(一)月額表を見ます。

月額表には「甲」欄と「乙」欄があります。

甲欄は『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』を提出した人の源泉徴収額を求める場合に使います。

乙欄は『給与所得者の扶養控除等異動申告書』を提出がない人の源泉徴収税額を求める場合に使います。

税額の求め方

その人のその月の給与等の金額からその給与等から控除される社会保険料を控除した金額を、月額表の左側2列の金額に当てはめます。

該当する金額の右側に税額が一覧でありますが、この中から「甲欄」の人であればその人の扶養家族の数に応じた列の金額を控除します。

「乙欄」の人であれば右端の税額を徴収します。

≪月額表抜粋≫

 

 

・賞与の場合

賞与は税額ではなく算出率を表から探します。まず見るのも左側の列ではなく右側の列になります。

「甲欄」の人の場合、扶養人数毎に、前月の社会保険料控除後の給与等の金額が2列で記載されています。

前月の社会保険料控除後とは、賞与を支払う前月の..という意味です。

この金額が当てはまる行の一番左の列「賞与の金額に乗ずべき率」を見ます。

賞与の金額からその賞与から控除される社会保険料を控除した金額にこの率を乗じた金額が源泉徴収する金額となります。

「乙欄」の方の賞与も右端の「乙」という列の該当する金額の行の左の列の「賞与の金額に乗ずべき率」を使って算出します。

≪賞与に対する算出率表抜粋≫

 

税理士 松井千春

2017,1,17

源泉徴収義務者と源泉徴収が必要な所得

源泉徴収義務者とは

会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引くことになっています。

そして、差し引いた所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。

この所得税及び復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。

 

ただし個人の場合で給与や退職金の支払いがない場合※は源泉徴収を要しないこととされています。

※2人以下のお手伝いさんを雇っているだけの個人を含みます。

 

つまり

法人の場合=従業員がいなくても源泉徴収義務あり

個人の場合=従業員(専従者含む)がいる場合、源泉徴収義務あり

 

個人事業の方で、事業主一人で事業をされていた方が税理士等に報酬を支払っても源泉徴収する必要はありませんが、一人でも雇用すると税理士等の分も源泉徴収する必要がでてきます。

 

 

一般的な事業所が源泉徴収しなければならない所得の種類

① 給与所得

現金支給のものだけではなく現物支給(昼食費や家賃補助等)も対象になります。

現物給与には個別に取扱いが定められていますので注意が必要です。

 

② 退職所得

退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与やこれらの性質を有する給与をいいます。

 

③ 報酬・料金

所得税法第204条1項1~8号に該当する報酬・料金を居住者に支払う場合には、その支払いの都度一定の率で源泉徴収をしなければなりません。

一般的には以下の1~2が多いのでその分だけを説明します。

1. 原稿の報酬、挿絵の報酬、写真の報酬、作曲の報酬、レコード等の吹込みの報酬、デザインの報酬等々

この中で該当する支払が多いと思うのはデザインの報酬です。ホームページのデザインやロゴの制作などを個人の方に依頼されたりすると源泉する必要があります。

 

2. 弁護士、公認会計士、税理士、経理し、会計士補、社会保険労務士、弁理士、司法書士等々の業務に関する報酬・料金

弁護士、税理士、社会保険労務士、司法書士への支払がある事業所は多いと思います。

 

上記、1・2ともに規定にはもっと多種の報酬が定められていますので実際に源泉徴収する必要があるかはきちんと規定で確認しなければなりません。

マイナンバーに関する事務も大変ですよ

毎月いろいろな事務仕事がありますが、今月末は法定調書(給与や報酬関係の調書)の提出期限になっています。

 

この法定調書にマイナンバーを記載して税務署、市区町村へ提出しなければなりません。

 

前回のブログに書いた労働保険、社会保険、税務関係にはマイナンバーの記載が必要になりました。

一部適用年度がずれるものがありますが、28年分からマイナンバー制度が始まり、実際に多くの事業所がこの法定調書の期日に間に合うように準備をされていると思います。

 

この法定調書の中には会社が借りている不動産の貸主が個人の場合、その個人への賃料支払額を記載した[不動産の使用料等の支払調書]というものもあります。

 

この他にもいろいろな支払調書があって、支払を受けた方が個人ならそれぞれにマイナンバーを記載しなければならないんです。

 

これらは給与や報酬や使用料を支払った会社が行わなければならない事務です。

 

結構な事務量の上にマイナンバーの収集まで💦

 

マイナンバーもなかなかご理解いただけないので結構大変です。

 

結果、会社や事業所では対応が難しくて税理士や社会保険労務士に依頼されるところが多いです。

 

このマイナンバーの収集に翻弄されてます💦

 

「今までマイナンバーが要るなんて言われたことないのに、なんで?」と、少し怒って電話を掛けて来られる方もありました。

 

従業員がマイナンバーなんて嫌やからまだ受け取ってないと言ってるという事業主さんに、

マイナンバーについての説明や理解してもらっての収集は事業主に課せられていること、

収集できなかった理由等を記載したものを残さないといけないなどを伝えると

「役所がちゃんと本人にマイナンバーを渡してないのに、なんでそこまでしなあかんの?」と言われたり^^;

 

もちろんご理解いただいてスムーズに業務ができる場合が殆どですが、数件だけでもうまくいかないとかなりのストレスにはなります。

 

そういえば最近めっきりマイナンバーについての広報がないですよね。

今こそしっかり国民が理解できるように広報していただきたいです。

 

ちょっと今日は愚痴っぽくなってしまいましたが、

 

 

マイナンバーに限らず、こういう事務的なことの大変さも、専門の部署に配属されていない限りご存知ない従業員さんが多いと思います。

私自身、税理士事務所に勤めるまで殆ど知りませんでした^^;

社会的地位が労働者から使用者に変わるとやはり責任の増え方は半端ないですね。

 

独立しようとする方はその辺りの覚悟もしてくださいね。

アウトソーシングできるからといって、何も知らないではダメですよ。

最終的な責任はあるやはり経営者であるご自身にかかってきますから。

 

税理士 松井千春

2017,1,13

 

人を雇うと事務量はかなり増えます!

今日は人を雇うことで発生する事務についての説明です。

1. 労働保険

個人事業でも法人でも人を雇うと労災保険に加入しなければなりません。

従業員が仕事中や通勤途中でけが等をした場合に給付を受けられる保険です。

雇用保険は一定の要件に当てはまる従業員を雇うことにより加入しなければならないものです。

雇用保険は、倒産等による失業に備えての保険です。

 

労災保険と雇用保険を併せて労働保険と呼びます。

手続き等事務関係は雇用した際に

・保険関係成立届

・概算保険料申告

・雇用保険適用事業所設置届

・雇用保険被保険者資格取得届

その後の従業員の雇用、退職の度にその手続きと、毎年労働保険の申告があります。

 

個人の場合の、家族従業員や法人の場合の役員は労働保険への加入はできません。(一定の場合を除く。)

 

 

2. 社会保険(健康保険(介護保険含む)、厚生年金)

法人の場合は、社会保険が強制適用になりますので、一定の要件に当てはまる従業員、役員は加入しなければなりません。

健康保険については、会社が所属する組合の国民健康保険に加入することも可能です。

個人の場合は任意加入となります。

 

加入時に

・社会保険新規適用届

・被保険者資格取得届等

その後、随時従業員の雇用、退職の度にその関係の手続きと、毎年『標準報酬算定基礎届』などの手続きがあります。

また、大幅な固定給料の変動があった場合にも手続きが必要です。

 

1,2については社会保険労務士の範疇なので詳細については触れませんが、従業員数が多くなると事務量がかなり増えてきます。

 

 

3. 源泉徴収義務

法人の場合は、従業員や役員の給料の支払いが無くても、相手が個人である税理士・弁護士等の士業や、デザイナーへの報酬支払について「源泉徴収義務」が課せられています。

個人事業の場合は、人を雇った場合に「源泉徴収義務」が課せられます。この雇うには専従者など家族従業員も含まれます。

 

源泉徴収義務というのは、給料や報酬等から所得税を差引して従業員や税理士等に支払い、その差引した所得税を後日税務署に納税するというものです。

給料の場合は、1年の終わりに「年末調整」を行い、従業員から預かった(天引きした)税金との差額の精算

1年間の給料支給額と年税額等を記載した『源泉徴収票』を作成し、交付

また、源泉徴収票と同じ内容のものを従業員の住所地の市区町村へ提出という事務もあります。

 

税務署に対しては、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書」というものも作成・提出の必要があります。

 

この法定調書には以下の調書等があります。

給与や退職所得の源泉徴収票

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

不動産の使用料等の支払調書

不動産等の譲受の対価の支払調書

不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書

 

 

これらは、支払の相手先や、支払者が法人か個人であるかによって提出範囲がことなりますが、

かなりな事務量があるといえます。

 

 

1,2,3ともに重要な事務でもあり、納税や保険料の支払については期限厳守ということもあり事業主にとっては悩ましいことだと思います。

そのため専門家に依頼されるほうが事業に専念できるといえます。

 

専門家に依頼される場合でも、上記のことは知っておいていただけなければスムーズに事務が行えませんのでよろしくお願いいたします。

 

 

税理士 松井千春

2017,1,11

会社を辞めて開業をした年は

会社を年の途中で退職してその年の内に開業した場合は所得税が還付されるかもしれません。

 

所得税の仕組みは

1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得から各種の所得控除を引いたものに税率を掛けて計算をします。

この計算された所得税から先に天引きされた所得税(源泉徴収税額)があればそれを差し引きして、納税額が出るか還付になるのかを算出します。

 

会社勤めだけの方は給料で毎月天引きされている所得税を年末調整で精算するので医療費控除などの控除や他の収入が無ければ確定申告は不要になります。

 

一年のうちの途中で退職した場合は毎月天引きされた所得税の精算が終わっていません。

なので年末調整が終わっていないのでしたら確定申告で精算をすることになります。

事業を始めていなくても、確定申告で精算することにより還付になることもあります。

 

その同じ年に開業された場合は、その事業の所得が多いと納税になる可能性がありますが、初年度は初期投資も多いので赤字になることもあります。

その事業の赤字は給与所得から差し引きできるのです。

これを損益通算といいます。

損益通算すると所得は小さくなるので、天引きされていた所得税が還付されることになります。

定年退職されて事業を始められた方でしたら退職金から天引きされて所得税を払ってるかもしれません。

事業の赤字が大きい場合はこの退職金の所得とも損益通算できるので、還付される所得税も多くなります。

どちらにせよ、計算してみないと還付になるのかどうかはわかりませんが。

 

税理士 松井千春

2017,1,9