所得税の確定申告4 分離課税

分離課税には源泉分離課税と申告分離課税があります。

源泉分離課税は、収入から直接徴収して他の所得と分離して課税するものです。

預貯金の利子や上場株式等に係る配当所得等、源泉ありの特定口座内で行う上場株式等の譲渡所得等などが対象です。

このうち、上場株式等に係る譲渡所得等や配当所得等は申告することも可能です。

既に源泉徴収で課税が終わっているのに何故かって?

それは前年以前の譲渡損と差引したり、他の特定口座との通算で源泉された税金を還付してもらうことができるからです。

 

申告分離課税は、土地建物等の譲渡、上場株式等に係る配当所得等(申告不要もあり)、上場株式等に係る譲渡所得等(源泉なし)、一般株式等に係る譲渡所得等、先物取引の事業所得・雑所得、山林所得、退職所得があります。

こちらは申告時に総合課税の所得や他の分離課税の所得と分離して税額を計算します。

退職所得も退職所得控除額を超える部分は源泉徴収されますので一年に複数の退職所得がなければ申告は不要な場合が多いです。

但し、「退職所得の需給に関する申告書」を会社に提出していない方は20.42%(復興特別所得税含む)で源泉徴収されていますので申告が必要です。

 

基本申告不要の退職所得で源泉徴収された税額が戻る場合があります。

 

総合課税で引ききれなかった所得控除額がある場合

総合課税の損失と退職所得を損益通算できる場合

損失の繰越控除を退職所得から控除できる場合

 

損益通算、損失の繰越控除ともに通算・控除の順番が決まっているので注意が必要です。

 

 

数年前、無料相談の当番だったときにある老婦人がお友達の言葉としてこんなことを言っておられました。

一生懸命に事業をして懸命に働いた結果、税率は総合課税のためすごく高くなったのに、

株式を売って儲けている人はどんなにたくさん設けても20.315%(復興特別所得税含む)だけなんて!と。

もしかしたらその頃は10%だったかもしれません(;’∀’)

 

景気対策等で上場株式等の譲渡益や配当所得等に対する税率は一律ですので、超過累進税率の総合課税より有利になることがあります。

なんだかなぁ….と思っておられる方もありますよね。

 

 

個人所得税は所得の種類、所得それぞれの計算方法や申告不要制度などとても複雑です。

今回4回にわたって書いてきましたが書き足りないというか、説明しきれないとういうか。

説明すればするほど難しい言葉になってしまって(汗)

 

自分の場合はどうなの?

 

気になる方は是非ご相談ください。

 

税理士 松井千春

2017,2,21

 

2017年2月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 松井千春

所得税の確定申告3 総合課税の税率

前回までにご紹介した「総合課税」とは、その名のとおり所得を総合して課税するものです。

そして、総合された所得から所得控除を控除した金額に税率を掛けるのですが、この税率が「超過累進税率」です。

税率は5%~45%まで段階的に高くなります。

4,000万円を超えたからといって、すべての所得が45%になるわけではありません。

上図のように階層ごとの税率を適用し、4,000万円を超えた部分が45%が適用されます。

でも階層ごとに税率を掛けていくのは大変なので速算表があります。

 

以下、国税庁のタックスアンサーより

 

 

 

 

 

 

 

 

総合所得が大きくなると税負担が大きくなって大変なんですよね。

 

この総合課税とは別に「分離課税」の所得があります。

これは、租税負担の軽減や経済対策などいろいろな理由で、他の所得は分離してそれぞれに定めた税率を適用します。

 

分離課税についてはまた後日。。。

 

税理士 松井千春

2017,2,19

 

 

 

 

2017年2月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 松井千春

所得税の確定申告2

前回の一覧表は、所得とその計算の仕方、所得控除とその計算の仕方又は金額について28年分の所得税の確定申告用となっておりますのでご注意ください。

平成29年分からは医療費控除に改正が入っていますし、配偶者控除についても平成30年から改正されそうです。

また、所得の説明は総合課税といって、その人の一年間の所得を合算して計算するものだけとなっています。

実際の申告時には分離課税といって、総合課税とは区別して税額を計算するような所得も計上しなければならない場合があります。

分離課税の所得の種類等についてはまた後日に書くことにします。

 

 

今日は、前回の表に記載した※印の解説とその他の補足をしたいと思います。

 

※1 利子所得については、国内の預金も利子所得です。でもこの利子所得は源泉徴収といって、収入から直接税金を控除するシステムになっています。

通帳に振り込まれている利息は既に税金を払った後になるわけです。

この利子所得で源泉徴収制度の対象のものは確定申告をすることはできない決まりになっています。

 

※2 総合課税の特別控除について

特別控除額は50万円です。

1年のうちに短期譲渡と長期譲渡があった場合には以下のように控除します。

例⑴短期の譲渡益が50万円を超える場合

①短期の譲渡益70万円-50万円=総合課税の短期譲渡所得の金額20万円

②長期の譲渡益50万円    =総合課税の長期譲渡所得の金額50万円

例⑵短期の譲渡益が50万円以下の場合

(短期の譲渡益30万円+長期の譲渡益30万円)-50万円=総合課税の長期譲渡所得の金額10万円

つまり、短期の譲渡益から先に控除するんです。

それと、控除という言葉は引ききれない場合はその金額までということです。

短期の譲渡益が20万円、長期の譲渡益が10万円あったとします。

譲渡益の合計が30万円<50万円の場合は30万円となります。

総合課税の特別控除に限らず控除とつくものはすべて同じです。

 

それと、総合課税の長期譲渡所得の金額ですが、他の所得と総合するときに、その1/2が課税の対象になります。

長期保有のものを譲渡した方が税金の負担が軽くなっています。

総合課税の譲渡所得ですが、譲渡(売買)をしたら何もかもを申告しなければならないわけではありません。

生活に通常必要な動産(例えば通勤用などの車、家財道具類)は課税の対象ではありません。

貴金属類やクルーザー、ヨット、事業用の車などが対象となります。

 

※3 一時所得の特別控除額も50万円です。

一時所得も臨時の所得なので税負担の軽減があり、総合課税の長期譲渡所得と同様に一時所得の金額の1/2が課税の対象になります。

 

※4 所得の合計を計算する際には以下のような決まりがあります。

損益通算

すべての所得が黒字の場合は合算すればいいのですが、不動産所得、事業所得、山林所得(これは分離課税です)及び譲渡所得の金額の計算上生じた損失は一定の法則により他の黒 字と相殺することができます。ただし、上記の所得であっても内容によっては損益通算の対象とならないものもありかなり複雑です。

事例で解説しようにも誤解を与えてしまってはいけませんのでここでは割愛させていただきます。

総合課税の長期譲渡所得、一時所得の金額を1/2にするのは損益通算後になります。

損益通算の結果、損失の金額が残る場合は、その残った金額の合計額を「純損失の金額」といい、翌年以降へ繰り越し又は前年へ繰り戻しすることができます。

 

繰越損失の控除

前年以前3年間に生じた雑損失や純損失で前年までに引ききれなかった金額を一定の順序に従って、今年の所得から差し引きしていきます。

引ききれない金額は翌年に繰越せますが4年を超えて繰り越すことができないので、25年分の損失が28年で引ききれなかった場合はその金額は繰り越せません。

 

上記を適用した結果を申告書の合計欄に記載します。

 

用語の解説

◇合計所得金額

扶養控除や配偶者控除などの判定に使用するものですが、次の①から⑦までの合計額になります。

① 純損失又は雑損失の繰越控除、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除を適用する前の総所得金額

② 分離課税の土地建物等の譲渡所得の金額(特別控除前)

③ 分離課税の上場株式等に係る配当所得等の金額(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用前の金額)

④ 分離課税の一般株式等及び上場株式等に係る譲渡所得等の金額(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除又は特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除の適用前の金額)

⑤ 分離課税の先物取引に係る雑所得等の金額(先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除適用前の金額)

⑥ 退職所得金額

⑦ 山林所得金額

◇総所得金額の合計額

雑損失、医療費控除、寄附金控除の計算などに使用します。

合計所得金額に純損失・雑損失の繰越控除、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除などの適用がある場合には、それらを適用して計算した金額をいいます。

 

 

※5 医療費控除を適用する際に、支払った医療費-医療費の補てん金額から控除する金額は次の金額のうち少ない方の金額となります。

①総所得金額の合計額×5%

②10万円

例)合計所得金額が100万円の場合、100万円×5%=5万円<10万円 ∴ 5万円

この場合、5万円超の医療費(補てん控除後)があれば、控除額の5万円を超える部分が医療費控除の対象となります。

つまり合計所得が200万円以上の場合は一律に10万円となるため、医療費(補てん控除後)が10万円を超えなければ医療費控除の対象にならないわけです。

 

 

税理士 松井千春

2017,2,17

2017年2月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 松井千春

所得税の確定申告 

個人の所得税の確定申告シーズンですね。

分かりやすいようにと表にまとめてみました。でもやっぱり複雑です!

次回以降に、※印の分も含めてもう少し解説をしていきます。

項目 所得の説明(主なもの) 所得の計算方法や金額など
所得 事業 営業等 商店の経営、医師・弁護士などの自由職業、漁業など 総収入金額-必要経費
農業 農業 総収入金額-必要経費
不動産 貸家、貸事務所、アパート、貸ガレージなど 総収入金額-必要経費
利子 国外の銀行に預けている預金の利子など※1 収入金額
配当 株式、出資金に対する剰余金の配当、利益の配当等 収入金額-株式などを取得するための負債の利子
給与 勤務先から受ける給料、賃金、賞与など 収入金額-給与所得控除額
公的年金等 老齢基礎年金、老齢厚生年金、恩給、小規模企業共済のbunkatu受け取りなど 収入金額-公的年金等控除額
その他 株主優待乗車券、生命保険会社から受け取る年金、会社への貸付金利子収入 総収入金額-必要経費
総合譲渡 短期 資産の譲渡(売却)によって生じた所得(土地建物等、株式等を除く)
譲渡した資産の所有期間が5年以下の場合
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額※2
長期 資産の譲渡(売却)によって生じた所得(土地建物等、株式等を除く)
譲渡した資産の所有期間が5年超の場合
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額※2
一時 生命保険の満期金や懸賞の賞金品、法人からの贈与など 総収入金額-その収入を得るために支出した金額-特別控除額※3
合計 上記の所得の合計※4 赤字の通算や繰越の損失など一定の調整が必要
所得控除 雑損控除 災害、盗難又は横領によって生活用資産などに損額をうけたとき
①差引損失額-総所得金額等の合計額
②差引損失額のうち雑賀関連支出の金額-5万円
いずれか多い方の金額
医療費控除 自分、自分と生計を一つにしている配偶者や親族の医療費を支払った場合 (その年中に支払った医療費-医療費の補てん金)-10万円※5
社会保険料控除 自分、自分と生計を一つにしている配偶者や親族の社会保険料(健康保険料等)を支払った場合 その年中に支払った金額
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済の掛金、確定拠出年金(企業型・個人型)、心身障害者扶養共済の掛金 その年中に支払った掛金の額
生命保険料控除 生命保険料又は掛金、介護・医療を保障する保険料等、個人年金保険料 支払った金額に応じて計算式に当てはめて計算した金額
地震保険料控除 地震や噴火又はこれらによる津波が原因となる火災、損壊、埋没又は流失等に備える保険料(旧長期損害保険料) 地震保険料はその年中に支払った金額の合計額(最高5万円)
旧長期損額保険料は支払った金額による計算式あり
寄附金控除 特定寄附金(国等に対する寄附(ふるさと納税含む)、公益社団、公益財団への寄附で一定のもの、政治活動に関する寄附、認定NPO法人への寄附で一定のものなど)を支出したとき その年中に支出した特定寄附金の額*の合計額-2千円
*は総所得金額の40%相当額が限度
寡婦・寡夫控除 その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には死亡の日)の現況
寡婦=①夫と死別した後再婚していない②夫と離婚した後再婚しておらず、かつ扶養親族や生計を一にする子がいる
寡夫=妻と死別又は離婚してその後再婚していない人で生計を一にする子があること(合計所得金額が500万円以下であること)
寡婦・寡夫控除は27万円
特定の寡婦は35万円
特定の寡婦とは寡婦のうち、扶養親族である子がおり、かつ合計所得金額が500万円以下の人
勤労学生控除 その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には死亡の日)の現況において自分が勤労学生の場合で合計所得が65万円以下でかつ、その所得のうち給与所得以外の所得が10万円以下であること(給与のみの場合は収入合計が130万円以下) 27万円
障害者控除 その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には死亡の日)の現況において、自分又は控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合。障害者手帳等を所持されている方のほか、寝たきり等で複雑な介護よ受けている人など 障害者1人につき27万円、特別障害者があるときは1人につき40万円、
同居特別障害者は75万円
配偶者控除 その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には死亡の日)の現在において、自己と生計を一にする配偶者(その年の合計所得が38万円以下に限る) 一般=38万円
老人=48万円 その配偶者がその年の12月31日(年の中途で死亡した場合には死亡の日)現在で70歳以上の場合
配偶者特別控除 生計を一にする配偶者の合計所得が38万円を超える場合 合計所得が380,001円~759,999円の場合、38万円~3万円の範囲での控除がある
扶養控除 その年の12月31日(年の中途で死亡した場合には死亡の日)の現在において、自己と生計を一にする配偶者以外の親族(その年の合計所得が38万円以下に限る) ①一般=38万円 16歳以上の人で以下の②、③以外の人
②特定=63万円 19歳以上23歳未満
③老人=58万円 70歳以上の同居している親(自己又は配偶者の親)
48万円 70歳以上の親族で同居の親以外
基礎控除 納税者(自己) 38万円
合計 所得から差し引かれる金額

 

税理士 松井千春

2017,2,15

2017年2月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 松井千春

相続と不動産所得2

不動産の貸付をされている方が亡くなると、その不動産を取得した方は不動産所得が発生しますね。

この不動産所得を申告することになったのなら以下に気をつけていただければと思います。

 

まず、亡くなられた方が青色申告をされていて、ご自身も青色申告にする場合。

 

賃貸不動産を相続された方がもともと青色申告の適用を受けておられたのなら別ですが、青色申告は承認申請をしなければなりません。

亡くなられた方が青色申告だったからといっても引継げないのです。

では、その承認申請書をいつまでに提出すればいいのでしょうか?

それは亡くなられた方の亡くなった日がいつかで以下のようになります。

1月1日~8月31日までの場合・・・・亡くなった日から4か月以内

9月1日~10月31日までの場合・・・・その年の12月31日まで

11月1日~12月31日までの場合・・・・その年の翌年の2月15日まで

 

この期間を過ぎて提出すると、その年は青色申告の適用を受けられません。

例えば、亡くなられた日が28年5月6日なら28年9月6日までとなります。

28年9月7日以降に申請書を提出されたのでしたら、翌年の29年分からしか青色申告は適用されないわけです。

8月31日までに亡くなられたのなら期限は4か月あるのですが、10月31日の場合だと2か月しかありません。

12月31日に亡くなられたのでしたら1ヶ月半ですよね(汗)

気をつけないといけませんね。

 

通常の場合の青色申告の承認申請書の提出期限は、

青色申告書で申告をしようとする年の3月15日までです。

ただし、年の途中(1月16日以降)で事業を開業したり、不動産の貸付を開始したのなら、その開業や貸付開始の日から2か月以内です。

 

 

次は必要経費についてです。

相続により賃貸不動産を取得したのなら、名義変更の登記(相続登記)をしますよね。

この相続登記にかかった登録免許税や司法書士の報酬等は、この不動産所得の必要経費になります。

こちらも忘れずに計上してくださいね。

 

ただし、相続に関して税理士に支払った報酬は必要経費にはなりません。

賃貸不動産に直接関係する経費とはいえませんからね。

 

 

税理士 松井千春

2017,2,13

 

2017年2月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 松井千春

所得税の納税地

給与得者(サラリーマンやOL)の場合納税地って意識していないですよね。

納税地とういうのは確定申告書の提出先にかかわりがあります。

所得税の確定申告書は、その確定申告書を提出する時の納税地を所轄する税務署長に提出することになっています。

 

その納税地は、一般の場合は住所地になります。

住所地というのは住んでいるところと考えていただいていいと思います。

 

でも外国に住んでいる方でも日本で確定申告書を提出しないといけない場合があります。

その場合の納税地は居所地になります。

居所とは、相当期間継続して居住しているものの、その場所との結びつきが住所ほど密接でないものとされています。例えば、アメリカに住んでいるけれど、半年程日本に滞在している場合の滞在先のホテルだったり、別荘だったりというな場所のことです。

そのほかに、単身赴任先や長期の入院先の病院なども居所といえます。

 

では、確定申告をしなければならない方が亡くなった場合はどうでしょう?

亡くなられた場合でも申告の必要があるのなら、亡くなられた方の相続人が申告書を提出することになります。

その納税地は?

それは、やはり亡くなられた方の死亡時の納税地となります。

 

この納税地には特例があります。

まず、国内に住所のほかに居所がある人は、住所地に代えて居所地を納税地とすることができます。

また、国内に住所又は居所のどちらかがあり、そのほかに事業所などがある人は、住所地等に代えてその事業所などの所在地を納税地にすることができます。実は私も自宅住所地ではなく事務所のある場所を納税地にしています。特に理由はありませんが(;^_^A

 

この特例を受けようとする人は本来の納税地と特例により納税地とする場所との両方の税務署に「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出しなければなりません。

 

届け出ていた住所地等から引っ越したりした場合はどうなるでしょう?

その場合は「所得税・消費税の納税地の異動届出書」を異動前、異動後の納税地の税務署に提出することになります。申告書の提出先もその時点での納税地ということになりますので、申告書を提出する前に引っ越したのなら異動届出書とともに新しい住所地等の税務署に提出することになります。

 

では、サラリーマンの方が29年1月初めに引っ越しをしてから28年分の確定申告をする場合は?

やはり新しい住所地での申告になります。たとえ会社から発行された源泉徴収票の住所と現在の住所が違っていても新しい住所地で確定申告をすることになります。

 

税理士 松井千春

2017,2,11

2017年2月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 松井千春

相続と不動産所得 

今日は不動産所得があった方の相続が起きた場合、その不動産所得は誰のものになるのかについてです。

 

不動産所得というのは、土地や家屋等を貸し付けている所得です。

アパートや貸家、ガレージなどの賃貸収入から生じる所得ですね。

 

相続が発生するとこの不動産所得はどうなるのか?

働いて得る報酬や事業の所得と違って、時の経過とともに収入も経費も発生します。

不動産所有者が亡くなっても賃借人さんから引き続き家賃や地代が入ってきます。

この不動産所得を申告しなければならない場合誰が申告すればいいのかということです。

 

例で示すと以下のようになります。

説明を簡単にするために毎月の収入もその収入から差し引く経費も毎月一定額と仮定しています。

不動産オーナーであるAさんの不動産所得は年間120万円です。

毎月の収入から経費を引いた金額は10万円です。

Aさんが平成28年5月31日に亡くなられました。

Aさんの配偶者である妻と子供が2人が相続人です。

Aさんには遺言書がなかったので相続人が平成28年11月1日に分割協議して、この不動産を配偶者が相続することにしました。

この不動産は分割協議日が11月1日であっても相続開始日に配偶者が相続したものとなります。

 

平成28年分の確定申告は

1~5月分までの50万円はAさんがご存命でしたので、Aさんの所得になります。

でもAさんが亡くなっているので相続人がAさんの代わりに申告をすることになります。

この申告のことを「準確定申告」といいます。

準確定申告の申告期限はAさんが亡くなられてから4月以内となります。

 

残りの6月~12月分はどうでしょう?

相続で取得することになった配偶者の所得となるのでしょうか?

 

この不動産は相続開始から分割協議が整うまでの間は未分割の相続財産ということになります。

この未分割の相続財産から生ずる収入は、遺産とは別個のものとなります。

なので、6月~10月分は法定相続人の共有財産になりますので、その所得はそれぞれの相続分で取得することになります。

6月~10月分の50万円は配偶者が1/2の25万円、子それぞれは1/4の12.5万円となります。

そして11月~12月分の20万円は配偶者の所得となります。

 

知らずにすべて配偶者の所得として申告されていることがあるのではないでしょうか?

 

 

税理士 松井千春

2017,2,9

2017年2月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 松井千春

医療費控除のここが間違いやすい!

2月に入っていよいよ確定申告の準備を始まるという方が多いのではないでしょうか?

今日は、医療費控除について間違いやすい点をいくつかご紹介しようと思います。

 

1. 親の医療費

同居等をしている親や別居でも子からの仕送りで生活をしている親にかかった医療費は、子供がその支払をすれば子供の医療費控除の対象になります。

ですが、生計が同一でない親の医療費を子供が負担しても医療費控除の対象にはできません。

医療費控除の対象は、「自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費」に限定されています。

 

2. 医療費の補てん金額が医療費よりも多かった場合

例 ①入院・治療費の支払額 15万円 保険会社からの補てん金 20万円

②①以外の医療費等の支払額 12万円 補てん金 0円

この場合、年間の医療費が27万円で補てん金が20万円なので差額7万円が医療費控除の対象だと思っておられる方があります。

7万円だと所得の5%(ただし最高で10万円)以下の為に医療費控除の対象にならないと思ってしまいがちですが、

医療費控除は補填の対象となる医療費毎に補てん金の差引計算を行います。

上の例では、①は補てん金の方が多いので医療費控除の対象は0円、②は補てん金等がないので12万円

この12万円が医療費控除の対象になりますよ。

 

3. 医療費を払った人と補てん金の受取人とが違う場合

例えば奥さんの入院治療費をご主人が15万円支払しました。この入院について奥様は自分が掛けている生命保険から入院の補てん金として10万円受取りました。

この場合、ご主人は15万円を医療費控除の対象にしていいのでしょうか?

答えはNOです。医療費の補てんを目的として支払を受ける保険金等である限り、その医療費から差引しなければならないです。

 

4. 海外で医療を受けた場合

海外旅行中等に現地で治療を受けて支払った医療費も医療費控除の対象になります。

ただし、海外赴任中等で非居住者(1年以上日本に住所を有していない)となる年分については医療費控除を申告することができません。

 

まだまだ間違いやすい事例がありますのでご注意ください。

 

 

税理士 松井千春

2017,2,7

2017年2月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 松井千春

家を買うときあなたは?

お客様から家や土地を購入するときにその名義についてのご相談を受けることがあります。

名義というのは家や土地等の所有権のことです。

土地のようにずーっとあるものは所有権が誰かから誰かに移るので所有権の移転登記といものをします。

 

建物は新築の場合もありますので、移転登記とは限りません。

新築したときは所有権の保存登記になります。

 

まぁどちらにしても誰のもの(所有権)かを明らかにしなきゃならないからです。

 

では、家を買うとき、その土地や建物の名義はどするのがいいのでしょうか?

 

ここで大事なのは、所有権に見合うお金を出したかどうかです。

 

あるご夫婦が3千万円で土地を購入するとします。

名義は1/2ずつにしたいとのことです。

ご主人が頭金500万円出して、残り2,500万円はご主人がローンを組みました。

頭金とローンを返済する原資はすべてご主人です。

このままで1/2ずつの共有持分で登記をすると、奥様はご主人から1/2の所有権を贈与してもらったことになります。

つまり1,500万円分の贈与ということになるので贈与税が!!

 

仮に頭金は奥様がご自身の預金から1,000万円、残りをご主人が銀行からの借入れで2,000万円の場合なら、奥様が1/3,ご主人が2/3という登記をすることになります。

 

それぞれが資金を出した金額の割合で名義を分けなければなりません。

 

では、共有名義にするメリットは?

一つには財産を所有しているという安心感のようなものもあるかもしれませんね。

 

他には、ご夫婦が共働き等でそれぞれが住宅ローンを組む場合は、ご夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。

 

また、居住用の住宅を売却して利益が出た場合には、一定の要件を満たせば売却益の3,000万円までの部分は特別控除を適用できるので税金がかかりません。

これは一人につき3,000万円なので、同一の物件でご夫婦の共有たったのなら6,000万円までの売却益なら税金がかからないことになります。

 

共有持分のデメリットもあります。

売却したくなっても共有者が賛成しないと売ることができません。

お子さんのいないご夫婦の場合、どちらかが亡くなればその不動産の相続権は亡くなられた方の配偶者と、亡くなられた方のご両親(ご両親が先に亡くなっている場合は兄弟姉妹)になります。

共有者との関係が複雑になると維持管理自体も難しくなってしまいます。

 

相続で財産を取得する場合でもそうです。

以前勤めていた事務所で昔あったのですが、亡くなられた方にはお子さんが3人おられました。

3人のお子さんが住んでいる家の敷地(土地)は亡くなられた方の名義でした。

この亡くなられた方は遺言書にどの不動産も1/3ずつ相続させるように書いておられたんです。

仲良く等分に分けてあげたいと思われたんでしょうね。

 

でも3人とも結婚もされてましたし、配偶者もいらっしゃいます。お子さんのいない方もありました。

このまま次の相続が発生したら?

または、誰かが理由があって、自分の持分を売りたくなったときは?

 

とても複雑なことになってしまいますよね。

 

名義はよく考えて決めないといけませんね。

 

税理士 松井千春

2017,2,5

2017年2月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 松井千春

音楽教室と著作権料

昨日ニュースで音楽教室での演奏にも著作権料を徴収っていうのをラジオで聞いてびっくりしました。

 

実は私の顧問先に音楽教室があるんです。

個人経営ですが、お父様の代からされてる教室で、私も何度か発表会を聴きに行かせてもらってます。

 

音楽教室での演奏(練習?)にまで著作権料が要るの?って素朴な疑問…

著作権法という法律があるんだし、ちゃんとした方が考えてのことなんでしょうけど、

実際徴収されるとなると音楽教室の経営に影響しますよね。

もちろん必要経費にはなりますが、今まで払わなくてよかったものを払わないといけないなんてね。

授業料をアップしたら生徒さん辞めてしまわはるかもしれないし。

 

なんでも大手の音楽教室から徴収して個人経営などの小さなところは徴収しないようなことが新聞記事に載っていましたが、将来どうなるのかはわからないですよね。

 

著作者の権利を護るのはもちろん大事なんですが、音を楽しむこと、音楽業界のことを考えたらこの音楽教室からも著作権料徴収ってマイナスじゃないのかなと思いました。

 

 

近々確定申告の資料をいただきに音楽教室へ伺いますので、その辺のことも聞いてみようと思ってます。

 

税理士 松井千春

2017,2,3

2017年2月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 松井千春