今日は不動産所得があった方の相続が起きた場合、その不動産所得は誰のものになるのかについてです。
不動産所得というのは、土地や家屋等を貸し付けている所得です。
アパートや貸家、ガレージなどの賃貸収入から生じる所得ですね。
相続が発生するとこの不動産所得はどうなるのか?
働いて得る報酬や事業の所得と違って、時の経過とともに収入も経費も発生します。
不動産所有者が亡くなっても賃借人さんから引き続き家賃や地代が入ってきます。
この不動産所得を申告しなければならない場合誰が申告すればいいのかということです。
例で示すと以下のようになります。
説明を簡単にするために毎月の収入もその収入から差し引く経費も毎月一定額と仮定しています。
不動産オーナーであるAさんの不動産所得は年間120万円です。
毎月の収入から経費を引いた金額は10万円です。
Aさんが平成28年5月31日に亡くなられました。
Aさんの配偶者である妻と子供が2人が相続人です。
Aさんには遺言書がなかったので相続人が平成28年11月1日に分割協議して、この不動産を配偶者が相続することにしました。
この不動産は分割協議日が11月1日であっても相続開始日に配偶者が相続したものとなります。
平成28年分の確定申告は
1~5月分までの50万円はAさんがご存命でしたので、Aさんの所得になります。
でもAさんが亡くなっているので相続人がAさんの代わりに申告をすることになります。
この申告のことを「準確定申告」といいます。
準確定申告の申告期限はAさんが亡くなられてから4月以内となります。
残りの6月~12月分はどうでしょう?
相続で取得することになった配偶者の所得となるのでしょうか?
この不動産は相続開始から分割協議が整うまでの間は未分割の相続財産ということになります。
この未分割の相続財産から生ずる収入は、遺産とは別個のものとなります。
なので、6月~10月分は法定相続人の共有財産になりますので、その所得はそれぞれの相続分で取得することになります。
6月~10月分の50万円は配偶者が1/2の25万円、子それぞれは1/4の12.5万円となります。
そして11月~12月分の20万円は配偶者の所得となります。
知らずにすべて配偶者の所得として申告されていることがあるのではないでしょうか?
税理士 松井千春
2017,2,9