人を雇うと事務量はかなり増えます!

今日は人を雇うことで発生する事務についての説明です。

1. 労働保険

個人事業でも法人でも人を雇うと労災保険に加入しなければなりません。

従業員が仕事中や通勤途中でけが等をした場合に給付を受けられる保険です。

雇用保険は一定の要件に当てはまる従業員を雇うことにより加入しなければならないものです。

雇用保険は、倒産等による失業に備えての保険です。

 

労災保険と雇用保険を併せて労働保険と呼びます。

手続き等事務関係は雇用した際に

・保険関係成立届

・概算保険料申告

・雇用保険適用事業所設置届

・雇用保険被保険者資格取得届

その後の従業員の雇用、退職の度にその手続きと、毎年労働保険の申告があります。

 

個人の場合の、家族従業員や法人の場合の役員は労働保険への加入はできません。(一定の場合を除く。)

 

 

2. 社会保険(健康保険(介護保険含む)、厚生年金)

法人の場合は、社会保険が強制適用になりますので、一定の要件に当てはまる従業員、役員は加入しなければなりません。

健康保険については、会社が所属する組合の国民健康保険に加入することも可能です。

個人の場合は任意加入となります。

 

加入時に

・社会保険新規適用届

・被保険者資格取得届等

その後、随時従業員の雇用、退職の度にその関係の手続きと、毎年『標準報酬算定基礎届』などの手続きがあります。

また、大幅な固定給料の変動があった場合にも手続きが必要です。

 

1,2については社会保険労務士の範疇なので詳細については触れませんが、従業員数が多くなると事務量がかなり増えてきます。

 

 

3. 源泉徴収義務

法人の場合は、従業員や役員の給料の支払いが無くても、相手が個人である税理士・弁護士等の士業や、デザイナーへの報酬支払について「源泉徴収義務」が課せられています。

個人事業の場合は、人を雇った場合に「源泉徴収義務」が課せられます。この雇うには専従者など家族従業員も含まれます。

 

源泉徴収義務というのは、給料や報酬等から所得税を差引して従業員や税理士等に支払い、その差引した所得税を後日税務署に納税するというものです。

給料の場合は、1年の終わりに「年末調整」を行い、従業員から預かった(天引きした)税金との差額の精算

1年間の給料支給額と年税額等を記載した『源泉徴収票』を作成し、交付

また、源泉徴収票と同じ内容のものを従業員の住所地の市区町村へ提出という事務もあります。

 

税務署に対しては、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書」というものも作成・提出の必要があります。

 

この法定調書には以下の調書等があります。

給与や退職所得の源泉徴収票

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

不動産の使用料等の支払調書

不動産等の譲受の対価の支払調書

不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書

 

 

これらは、支払の相手先や、支払者が法人か個人であるかによって提出範囲がことなりますが、

かなりな事務量があるといえます。

 

 

1,2,3ともに重要な事務でもあり、納税や保険料の支払については期限厳守ということもあり事業主にとっては悩ましいことだと思います。

そのため専門家に依頼されるほうが事業に専念できるといえます。

 

専門家に依頼される場合でも、上記のことは知っておいていただけなければスムーズに事務が行えませんのでよろしくお願いいたします。

 

 

税理士 松井千春

2017,1,11

会社を辞めて開業をした年は

会社を年の途中で退職してその年の内に開業した場合は所得税が還付されるかもしれません。

 

所得税の仕組みは

1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得から各種の所得控除を引いたものに税率を掛けて計算をします。

この計算された所得税から先に天引きされた所得税(源泉徴収税額)があればそれを差し引きして、納税額が出るか還付になるのかを算出します。

 

会社勤めだけの方は給料で毎月天引きされている所得税を年末調整で精算するので医療費控除などの控除や他の収入が無ければ確定申告は不要になります。

 

一年のうちの途中で退職した場合は毎月天引きされた所得税の精算が終わっていません。

なので年末調整が終わっていないのでしたら確定申告で精算をすることになります。

事業を始めていなくても、確定申告で精算することにより還付になることもあります。

 

その同じ年に開業された場合は、その事業の所得が多いと納税になる可能性がありますが、初年度は初期投資も多いので赤字になることもあります。

その事業の赤字は給与所得から差し引きできるのです。

これを損益通算といいます。

損益通算すると所得は小さくなるので、天引きされていた所得税が還付されることになります。

定年退職されて事業を始められた方でしたら退職金から天引きされて所得税を払ってるかもしれません。

事業の赤字が大きい場合はこの退職金の所得とも損益通算できるので、還付される所得税も多くなります。

どちらにせよ、計算してみないと還付になるのかどうかはわかりませんが。

 

税理士 松井千春

2017,1,9

 

会社勤めから開業される方へ

会社に勤めながら開業準備される方は多いと思います。

そのお勤めでのスキルを活かす方もあるでしょうし、

趣味や興味を持っていたものを極めてという方もおられるでしょう。

なんであれ、今まで毎月きちんと安定したお給料が入っていたので気にならなかったことや、会社の誰かがしてくれていたことが自分がしなければならなくなります。

 

雇用保険

これは失業の可能性を考えて、給料から天引きされたものと会社が負担してくれたものとが原資となっています。

自分の為に僅かずつでも掛けていたとはいえ、独立開業の為に会社を辞めているので、この失業保険はもらえません。

独立したてで思うように売上が上がらないと生活費の不安も出てくるかもしれません。

 

それと労災保険

労災保険は会社が全額負担して保険料を払っています。

仕事中や通勤途中の怪我等があった場合に労災保険から支払いがされます。

これも会社が全てしてくれてたので安心して働けた訳ですが、自分が事業主の場合には労災保険は掛けられません。先に書きました雇用保険も同様に掛けられません。

つまり、怪我や事業を廃業した場合のリスクは自分で何とかしなければならないのです。

 

健康保険

病気をしたり怪我をしたときに病院に行きますよね。健康保険に加入していなければ全額自費払いになってしまいます。

会社勤めなら会社の健康保険(協会けんぽ等)に加入しているので窓口で3割負担するだけでした。

日本は国民皆保険制度です。何らかの保険に加入しなければなりません。

会社の健康保険を脱退したのなら一般的には国民健康保険に加入することになります。

国民健康保険の保険料は前年度の所得をベースに計算しますので、年収が多い方の国民健康保険料は高額になってしまいます。

会社の健康保険等が任意継続できるのでしたらその方が保険料が安く済むかもしれません。2年間は継続できます。

国民健康保険か健康保険かどちらが有利かは計算すればわかります。

仮に任意継続が有利だった場合としても、2年めは国民健康保険の方が有利になるかもしれません。

やはり計算をして有利か不利か検討すべきです。

 

年金

年金も厚生年金等から国民年金に変更しなければならなくなります。

 

今まで深く考えていなかったことだったりしませんか?

労災保険や雇用保険、健康保険、年金

会社に勤めていれば色々な形で守られていた訳です。

これからは自分のことは全て自分が守らなければなりません。

でもその代わりにやり甲斐や自由というものが手に入ります。

 

独立の道を選んだのでしたら、長く続けていけるようこの他にも考えなければならないことは沢山ありますが、必ず応援してくれる人、助けてくれる人が現れますので頑張って行きましょう!

 

税理士 松井千春

2017,1,7

新規開業するなら知っておくべきこと‼️‼️

新規開業にあたって用意周到、万全にと思っていても見落としは誰にでもあります。

 

これから始める事業について集中し過ぎてというか、忙し過ぎてなのか、時々税務関係の書類の提出を忘れられる方があります。

 

特に期限のあるものについては、大変な損害になることもあります。

 

ひとつは、青色申告の承認申請書です。

 

個人事業であっても、法人であっても、この申請書を提出し忘れると、種々の得点を受けられなくなります。

 

開業初年度は設備投資などの為に赤字になる場合がよくあります。

青色申告の承認を受けていれば、初年度の赤字を翌年以降に繰越す事ができます。

2年目から利益がでても、この繰り越された赤字(欠損金といいます)を利益から控除できるので税負担が軽くなります。

個人の場合で3年間、法人なら10年間繰越すことができます。

私のお客様の中にも提出していなかったために、2年目からいきなりの納税でびっくりされた方があります。

もっと早くに相談に来てくれていたらと本当に残念でなりませんでした。

この他にも減価償却等の得点や個人の場合でしたら青色申告得点控除というこ控除もありますし、専従者給与といって家族に給料を出す事も可能になります。

 

 

もうひとつは消費税の課税事業者選択届出書です。

 

事業者は売上とともに預かる消費税額と仕入や経費とともに支払う消費税額との差額を納税するのが原則です。

ただし、消費税は通常事業開始から2年間は納税義務がありません。

つまり預かった消費税額と支払った消費税額との差額は益税となります。

 

でも、逆に支払った消費税額の方が多くなるときがあります。

初年度は設備投資等に費やす金額も多額のためそれに伴う消費税額も大きくなります。

では売上はどうでしょうか?

初年度は事業の認知度も低く、思うように売上げが伸びないこともあります。

この場合預かった消費税額より支払った消費税額の方が大きくなることも考えられます。

 

預かった消費税額と支払った消費税額との差額は、払い過ぎている訳なので還付してもらいたいですよね。

 

納税義務がない期間の消費税は、預かりの方が多くても納税しなくてよいのですが、支払い過ぎのときは返してもらえないということになっています。

 

どうしても返して欲しいのなら「消費税の課税事業者選択届出書」を期限内に提出しなければなりません。

 

でも、この届出書を提出すると2〜3年間は納税義務が免除されません。

通常2年間は納税義務が無かったのに届出書により課税事業者を選択すると、この選択をやめることができるようになるのが2〜3年後と縛られているんです。

 

なので、初年度だけをみて還付してもらうのではなく、翌年、翌々年も踏まえて検討しなければなりません。

 

なかなかそこまで皆さんが判断するのは難しいですよね。

 

2〜3年とアバウトに書きましたが、ケースによって縛りのかかる年数が違うためです。

また通常、開業当初2年間は納税義務が無いと書きましたが、1年目から納税義務がある場合、2年目から納税義務がある場合などのケースがあります。

 

今までに何度も開業するより前に税理士に相談してほしいと書いてきたのは、こういう事もあるからです。

 

折角頑張って事業を始められても直ぐに困るようなことがないように、長くその事業を続けていく為にも経営に必須の会計と税金について力強いパートナーとなる税理士を選んでください。

 

そしてこの会計や税に関わる経費についても事業を行う上でのコストですので、事業計画上もこのコストを含めて検討することをお勧めします。

 

税理士 松井千春

2017.1.5

新規開業するなら知っておくべきこと‼️続々

開業されるにあたって、内装や設備、備品の購入など決めなければならないことがたくさんありますね。

 

飲食店

美容室

ネイルサロン

小売業など

 

日々現金での売上が多い業種ならレジも重要な備品ですね。

では、そのレジについてはどうされますか?

 

レジとネット検索すると楽天市場Amazmn、CASIOなどたくさん出てきます。

 

どのレジスターを使うかは自由ですが、会計のことも考えて購入していただきたいのです。

 

レジに打ち込むデータは売り上げです。

売り上げは必ず経理処理しなければなりません。

レジのデータを会計ソフトに入力するのがこれまでは一般的でした。

 

今はクラウドソフトが手間を会計ソフトへの入力の手間を省いてくれます。

 

Airレジ、スマレジ、ユビレジなど便利なPOSレジアプリがあります。

これらはクラウド型の会計ソフトと簡単に連携できるのでレジに打ったデータが会計ソフトに自動で取り込めるようになります。

 

これはホント便利なんです。

私のお客様も多数利用されてます。

もちろんディスプレイやレシートプリンター、キャッシュドロワーなどは購入する必要がありますが、上記のソフトには無料で使えるのもありますから初期投資もランニングコストも低く抑えられます。

 

そして、軽減税率対策補助金というのがあるので、消費税の複数税率に対応しなければならない事業を始められる方なら、上記の機器の購入に対して補助金申請できますよ。

 

3日連続で新規開業するなら知っておくべきことを書きましたが、まだまだたくさんあります。

でも、せめてこの3日間に書いたことは知っておいていただきたいです。

 

税理士 松井千春

2017.1.3

 

新規開業するなら知っておくべきこと‼️続

新規開業にあたって会計と税務も重要ですよと昨日書きました。

その理由について書いておきますね。

 

新規開業される際の資金はみなさんどうされる予定ですか?

 

住宅を購入するのと同じようにやはり大抵の方が融資、つまり金融機関から借り入れをされるのではないでしょうか?

多くの金融機関が創業融資と銘打って事業の後押しをする融資を行なっています。

だからといって簡単に借りられるものではないですよ。

その事業の魅力や見通し

事業所の所在

その他諸々を審査して融資を決めます。

 

自己資金の多さや担保の有無なんかも関係します。

 

では、金融機関は事業の魅力や見通しについてはどのような判断できめるのでしょうね?

これは事業(創業)計画書を基にあなたとの面談で判断することになります。

様々なデータが金融機関にはあります。過去の顧客への融資実績など諸々。それらを踏まえて融資をするのか断るのかを決めるのです。

 

では事業(創業)計画書ってどのようなものでしょうか?

 

日本政策金融公庫の国民生活事業での創業計画書には、

1  創業の動機

2 経営者の略歴等

3 取扱商品・サービス

4  取引先・取引関係等

5  従業員

6  お借入の状況

7 必要な資金と調達方法

8 事業の見通し(月平均)

 

以上の項目を記載するようになっています。

 

8の事業の見通し(月平均)は数字で表します。

つまり、事業を始めるまえから、いくらの売上でどれくらい利益が出るのかを記載するわけです。

根拠のない数字ではダメです。

きちんとした根拠を持った売上高とその原価、諸経費を差引きして利益を算定します。

 

金融機関から借りた元金の返済は経費にはなりません。

借りた時に利益になるものではないので、返済時に経費にならないのです。

つまり、稼いだ利益の中から返済をしなければならないので、利益が全然見込まれなければ返済が出来ないということになります。

そして利益が出れば税金も払わなければなりませんね。

つまり、返済+税金+生活費(個人事業の場合)を上回る利益が必要だということです。

 

例えば飲食店を経営しようとされる方でしたら、料理の腕はもちろん材料の調達など提供しようとするサービスのことについては準備が整っていることでしょう。

けれど数字についてはどうでしょう?

なんとなくや熱い気持ちだけでは金融機関を納得させることはできません。

 

なので開業される前に是非私達税理士に相談していただきたいのです。

 

私は皆様の起業を応援しています。

 

税理士 松井千春

2017,1,2

2017年 新規開業するなら知っておくべきこと‼️

明けましておめでとうございます!

新しい年に新しいことを始められる方もたくさんおられると思います。

その中には起業もあるのではないでしょうか?

 

実は私、最近新しい事業を始めたい気持ちが芽生えておりまして

とはいえ、本業の税理士という仕事が大好きだし、まだまだしなければならないことが山盛りあるし^^;

なので、新しい事業はわたしが税理士業をリタイアしてから…と、思っています。

 

リタイアといえば、私のお客様にもリタイアされてから新しいことにチャレンジされてる方があります。

 

奥様がどうしても始めたいと仰ったそうで、素敵なカフェと手芸などができるワークショップを開催されます。

 

起業には何が必要なのか?

 

やっぱりまずは情熱ですね。

情熱といっても熱い気持ちだけではダメです。

誰が何と言おうともやり続けることができるのか?

人の為になるものなのか?

自分も幸せになれるのか?

 

よーく考えてくださいね。

誰も幸せにできないのなら、そんな事業は辞めるべきです。

 

だってそうでしょ?

安くて美味しい食堂を経営したとします。

食べに来られるお客様や、材料を売ってくれる仕入先さんはいいですが、料理を提供するあなた本人や家族が、無理して安くしていても長続きはしません。

もちろん目先の利益だけを追って欲しいと言うわけではありません。

続けていくためには誰かが犠牲になってはダメなんです。

 

そういうことも含めてきちんと理解した上で起業したいという情熱がある人を私は応援し続けたいと思います!

 

その次は資金的なことも重要ですね。

そして会計と税務

 

会計と税務については後回しにしがちですが、本当は開業される前に少しでも知っておいて欲しいことがあるんですよね。

 

そうそう、会計に関連しますがレジについても結構重要なんです。

飲食店なら、消費税について少し勉強しておかないとね。先延ばしになったとはいえ軽減税率の問題もあります。

その問題をレジが解決してくれるかもしれません。

 

この辺りのことは明日書いていこうと思います。

 

新年を迎えて張り切ってまーすヽ(〃v〃)ノ

税理士 松井千春

2017.1.1