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マイナンバーに関する事務も大変ですよ
毎月いろいろな事務仕事がありますが、今月末は法定調書(給与や報酬関係の調書)の提出期限になっています。
この法定調書にマイナンバーを記載して税務署、市区町村へ提出しなければなりません。
前回のブログに書いた労働保険、社会保険、税務関係にはマイナンバーの記載が必要になりました。
一部適用年度がずれるものがありますが、28年分からマイナンバー制度が始まり、実際に多くの事業所がこの法定調書の期日に間に合うように準備をされていると思います。
この法定調書の中には会社が借りている不動産の貸主が個人の場合、その個人への賃料支払額を記載した[不動産の使用料等の支払調書]というものもあります。
この他にもいろいろな支払調書があって、支払を受けた方が個人ならそれぞれにマイナンバーを記載しなければならないんです。
これらは給与や報酬や使用料を支払った会社が行わなければならない事務です。
結構な事務量の上にマイナンバーの収集まで💦
マイナンバーもなかなかご理解いただけないので結構大変です。
結果、会社や事業所では対応が難しくて税理士や社会保険労務士に依頼されるところが多いです。
このマイナンバーの収集に翻弄されてます💦
「今までマイナンバーが要るなんて言われたことないのに、なんで?」と、少し怒って電話を掛けて来られる方もありました。
従業員がマイナンバーなんて嫌やからまだ受け取ってないと言ってるという事業主さんに、
マイナンバーについての説明や理解してもらっての収集は事業主に課せられていること、
収集できなかった理由等を記載したものを残さないといけないなどを伝えると
「役所がちゃんと本人にマイナンバーを渡してないのに、なんでそこまでしなあかんの?」と言われたり^^;
もちろんご理解いただいてスムーズに業務ができる場合が殆どですが、数件だけでもうまくいかないとかなりのストレスにはなります。
そういえば最近めっきりマイナンバーについての広報がないですよね。
今こそしっかり国民が理解できるように広報していただきたいです。
ちょっと今日は愚痴っぽくなってしまいましたが、
マイナンバーに限らず、こういう事務的なことの大変さも、専門の部署に配属されていない限りご存知ない従業員さんが多いと思います。
私自身、税理士事務所に勤めるまで殆ど知りませんでした^^;
社会的地位が労働者から使用者に変わるとやはり責任の増え方は半端ないですね。
独立しようとする方はその辺りの覚悟もしてくださいね。
アウトソーシングできるからといって、何も知らないではダメですよ。
最終的な責任はあるやはり経営者であるご自身にかかってきますから。
税理士 松井千春
2017,1,13
人を雇うと事務量はかなり増えます!
今日は人を雇うことで発生する事務についての説明です。
1. 労働保険
個人事業でも法人でも人を雇うと労災保険に加入しなければなりません。
従業員が仕事中や通勤途中でけが等をした場合に給付を受けられる保険です。
雇用保険は一定の要件に当てはまる従業員を雇うことにより加入しなければならないものです。
雇用保険は、倒産等による失業に備えての保険です。
労災保険と雇用保険を併せて労働保険と呼びます。
手続き等事務関係は雇用した際に
・保険関係成立届
・概算保険料申告
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届
その後の従業員の雇用、退職の度にその手続きと、毎年労働保険の申告があります。
個人の場合の、家族従業員や法人の場合の役員は労働保険への加入はできません。(一定の場合を除く。)
2. 社会保険(健康保険(介護保険含む)、厚生年金)
法人の場合は、社会保険が強制適用になりますので、一定の要件に当てはまる従業員、役員は加入しなければなりません。
健康保険については、会社が所属する組合の国民健康保険に加入することも可能です。
個人の場合は任意加入となります。
加入時に
・社会保険新規適用届
・被保険者資格取得届等
その後、随時従業員の雇用、退職の度にその関係の手続きと、毎年『標準報酬算定基礎届』などの手続きがあります。
また、大幅な固定給料の変動があった場合にも手続きが必要です。
1,2については社会保険労務士の範疇なので詳細については触れませんが、従業員数が多くなると事務量がかなり増えてきます。
3. 源泉徴収義務
法人の場合は、従業員や役員の給料の支払いが無くても、相手が個人である税理士・弁護士等の士業や、デザイナーへの報酬支払について「源泉徴収義務」が課せられています。
個人事業の場合は、人を雇った場合に「源泉徴収義務」が課せられます。この雇うには専従者など家族従業員も含まれます。
源泉徴収義務というのは、給料や報酬等から所得税を差引して従業員や税理士等に支払い、その差引した所得税を後日税務署に納税するというものです。
給料の場合は、1年の終わりに「年末調整」を行い、従業員から預かった(天引きした)税金との差額の精算
1年間の給料支給額と年税額等を記載した『源泉徴収票』を作成し、交付
また、源泉徴収票と同じ内容のものを従業員の住所地の市区町村へ提出という事務もあります。
税務署に対しては、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書」というものも作成・提出の必要があります。
この法定調書には以下の調書等があります。
給与や退職所得の源泉徴収票
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
不動産の使用料等の支払調書
不動産等の譲受の対価の支払調書
不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書
これらは、支払の相手先や、支払者が法人か個人であるかによって提出範囲がことなりますが、
かなりな事務量があるといえます。
1,2,3ともに重要な事務でもあり、納税や保険料の支払については期限厳守ということもあり事業主にとっては悩ましいことだと思います。
そのため専門家に依頼されるほうが事業に専念できるといえます。
専門家に依頼される場合でも、上記のことは知っておいていただけなければスムーズに事務が行えませんのでよろしくお願いいたします。
税理士 松井千春
2017,1,11
会社を辞めて開業をした年は
会社を年の途中で退職してその年の内に開業した場合は所得税が還付されるかもしれません。
所得税の仕組みは
1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得から各種の所得控除を引いたものに税率を掛けて計算をします。
この計算された所得税から先に天引きされた所得税(源泉徴収税額)があればそれを差し引きして、納税額が出るか還付になるのかを算出します。
会社勤めだけの方は給料で毎月天引きされている所得税を年末調整で精算するので医療費控除などの控除や他の収入が無ければ確定申告は不要になります。
一年のうちの途中で退職した場合は毎月天引きされた所得税の精算が終わっていません。
なので年末調整が終わっていないのでしたら確定申告で精算をすることになります。
事業を始めていなくても、確定申告で精算することにより還付になることもあります。
その同じ年に開業された場合は、その事業の所得が多いと納税になる可能性がありますが、初年度は初期投資も多いので赤字になることもあります。
その事業の赤字は給与所得から差し引きできるのです。
これを損益通算といいます。
損益通算すると所得は小さくなるので、天引きされていた所得税が還付されることになります。
定年退職されて事業を始められた方でしたら退職金から天引きされて所得税を払ってるかもしれません。
事業の赤字が大きい場合はこの退職金の所得とも損益通算できるので、還付される所得税も多くなります。
どちらにせよ、計算してみないと還付になるのかどうかはわかりませんが。
税理士 松井千春
2017,1,9
会社勤めから開業される方へ
会社に勤めながら開業準備される方は多いと思います。
そのお勤めでのスキルを活かす方もあるでしょうし、
趣味や興味を持っていたものを極めてという方もおられるでしょう。
なんであれ、今まで毎月きちんと安定したお給料が入っていたので気にならなかったことや、会社の誰かがしてくれていたことが自分がしなければならなくなります。
雇用保険
これは失業の可能性を考えて、給料から天引きされたものと会社が負担してくれたものとが原資となっています。
自分の為に僅かずつでも掛けていたとはいえ、独立開業の為に会社を辞めているので、この失業保険はもらえません。
独立したてで思うように売上が上がらないと生活費の不安も出てくるかもしれません。
それと労災保険
労災保険は会社が全額負担して保険料を払っています。
仕事中や通勤途中の怪我等があった場合に労災保険から支払いがされます。
これも会社が全てしてくれてたので安心して働けた訳ですが、自分が事業主の場合には労災保険は掛けられません。先に書きました雇用保険も同様に掛けられません。
つまり、怪我や事業を廃業した場合のリスクは自分で何とかしなければならないのです。
健康保険
病気をしたり怪我をしたときに病院に行きますよね。健康保険に加入していなければ全額自費払いになってしまいます。
会社勤めなら会社の健康保険(協会けんぽ等)に加入しているので窓口で3割負担するだけでした。
日本は国民皆保険制度です。何らかの保険に加入しなければなりません。
会社の健康保険を脱退したのなら一般的には国民健康保険に加入することになります。
国民健康保険の保険料は前年度の所得をベースに計算しますので、年収が多い方の国民健康保険料は高額になってしまいます。
会社の健康保険等が任意継続できるのでしたらその方が保険料が安く済むかもしれません。2年間は継続できます。
国民健康保険か健康保険かどちらが有利かは計算すればわかります。
仮に任意継続が有利だった場合としても、2年めは国民健康保険の方が有利になるかもしれません。
やはり計算をして有利か不利か検討すべきです。
年金
年金も厚生年金等から国民年金に変更しなければならなくなります。
今まで深く考えていなかったことだったりしませんか?
労災保険や雇用保険、健康保険、年金
会社に勤めていれば色々な形で守られていた訳です。
これからは自分のことは全て自分が守らなければなりません。
でもその代わりにやり甲斐や自由というものが手に入ります。
独立の道を選んだのでしたら、長く続けていけるようこの他にも考えなければならないことは沢山ありますが、必ず応援してくれる人、助けてくれる人が現れますので頑張って行きましょう!
税理士 松井千春
2017,1,7
新規開業するなら知っておくべきこと‼️‼️
新規開業にあたって用意周到、万全にと思っていても見落としは誰にでもあります。
これから始める事業について集中し過ぎてというか、忙し過ぎてなのか、時々税務関係の書類の提出を忘れられる方があります。
特に期限のあるものについては、大変な損害になることもあります。
ひとつは、青色申告の承認申請書です。
個人事業であっても、法人であっても、この申請書を提出し忘れると、種々の得点を受けられなくなります。
開業初年度は設備投資などの為に赤字になる場合がよくあります。
青色申告の承認を受けていれば、初年度の赤字を翌年以降に繰越す事ができます。
2年目から利益がでても、この繰り越された赤字(欠損金といいます)を利益から控除できるので税負担が軽くなります。
個人の場合で3年間、法人なら10年間繰越すことができます。
私のお客様の中にも提出していなかったために、2年目からいきなりの納税でびっくりされた方があります。
もっと早くに相談に来てくれていたらと本当に残念でなりませんでした。
この他にも減価償却等の得点や個人の場合でしたら青色申告得点控除というこ控除もありますし、専従者給与といって家族に給料を出す事も可能になります。
もうひとつは消費税の課税事業者選択届出書です。
事業者は売上とともに預かる消費税額と仕入や経費とともに支払う消費税額との差額を納税するのが原則です。
ただし、消費税は通常事業開始から2年間は納税義務がありません。
つまり預かった消費税額と支払った消費税額との差額は益税となります。
でも、逆に支払った消費税額の方が多くなるときがあります。
初年度は設備投資等に費やす金額も多額のためそれに伴う消費税額も大きくなります。
では売上はどうでしょうか?
初年度は事業の認知度も低く、思うように売上げが伸びないこともあります。
この場合預かった消費税額より支払った消費税額の方が大きくなることも考えられます。
預かった消費税額と支払った消費税額との差額は、払い過ぎている訳なので還付してもらいたいですよね。
納税義務がない期間の消費税は、預かりの方が多くても納税しなくてよいのですが、支払い過ぎのときは返してもらえないということになっています。
どうしても返して欲しいのなら「消費税の課税事業者選択届出書」を期限内に提出しなければなりません。
でも、この届出書を提出すると2〜3年間は納税義務が免除されません。
通常2年間は納税義務が無かったのに届出書により課税事業者を選択すると、この選択をやめることができるようになるのが2〜3年後と縛られているんです。
なので、初年度だけをみて還付してもらうのではなく、翌年、翌々年も踏まえて検討しなければなりません。
なかなかそこまで皆さんが判断するのは難しいですよね。
2〜3年とアバウトに書きましたが、ケースによって縛りのかかる年数が違うためです。
また通常、開業当初2年間は納税義務が無いと書きましたが、1年目から納税義務がある場合、2年目から納税義務がある場合などのケースがあります。
今までに何度も開業するより前に税理士に相談してほしいと書いてきたのは、こういう事もあるからです。
折角頑張って事業を始められても直ぐに困るようなことがないように、長くその事業を続けていく為にも経営に必須の会計と税金について力強いパートナーとなる税理士を選んでください。
そしてこの会計や税に関わる経費についても事業を行う上でのコストですので、事業計画上もこのコストを含めて検討することをお勧めします。
税理士 松井千春
2017.1.5